不器用なコイ

emmuuu2009-04-18


神谷町の愛宕神社に行ってきました。

位置が定かではなかったので、廻り込んでしまい、

本来なら86段ある階段を登って参拝するのが筋ですが、

車道を歩いて、神社に到達してしまいました。

文字通り、迂回。



神社の奥手には池があり、

池には、鯉がたくさんいます。

えさやり場に立つと、鯉が口をパクパクさせて殺到します。

ばしゃばしゃひしめきあって、口をあけて、みんなエサを待っている。

そんな池の中で、一匹だけ、集団に群れず、すいすい泳いでいる鯉がいました。

勘が鈍いのか、一匹狼なのか。

周辺を佇んでいるだけです。

しばらくたって、ようやく、彼がこっちに向かってきました。

しかし、前方はもう鯉でひしめきあっていて、前に行くのが容易ではありません。

みんなに比べて一回りからだの小さい彼は、

大きな鯉に体当たりされたり、行く手を阻まれたりして、

目的の場所にたどり着けません。

あきらめて、おこぼれをもらおうと、もみくちゃにされながらも、

必死に口をパクパクさせると、桜の枝とか、変なものが口に入ってくる。

それを吐き出しては、また口をめいいっぱいパクパクさせるけれど、

やっぱり、桜の枝が口の中に入って、むせてしまう。

しまいには、他の鯉が覆いかぶさり、彼は仕方なく、池の下へもぐって行きました。



鯉にも、不器用な奴が、いるんだ。



不器用な彼が気になり、目で追っていると、

あきらめたように、また、群れから離れ、群れの周辺をすいすい泳いでいました。

その姿はけっして、みすぼらしくない。

むしろひょうひょうとしていて、

私の目の前でもみくちゃになりながら口をパクパクしている、

色とりどりのたくさんの鯉たちと違って、

彼の世界だけは、視界が開けている。

そんな、気がしました。