日本っぽい

デザイナーになってもうすぐ2年になる。

デザインの教育も受けず、そういう関係の仕事もしたことがなく、
上海で初めてデザインの仕事を始めたので、
とにかくすべてが見よう見真似だった。

日本語雑誌を作っているので、とりあえず「日本っぽい」デザインを真似た。

こないだ、そのデザインがとても「日本っぽい」とほめられた。

2年間ひたすら「日本っぽい」デザインを目指して、
「日本っぽい」デザインが作れるようになったのだけれど、

改めてそれを見返すと、いいようのない嫌悪感に襲われる。

それは「日本っぽい」だけであって、中身がない。

ただ上品に、無難に座っているだけの、のっぺらぼうな感じがした。

それはたぶん、上海にいる自分を暗示しているような気がした。

ただ、上辺にそっと無難に座っているだけ。






杉浦康平さんの『アジアの本・文字・デザイン』を読んでいます。

書いてあることが難しすぎて、よくわかりません。

でも、心にガツンときました。

タイポグラフィーに興味があるのですが、

今まで私は文字を文字として扱わず、記号としてデザインしようとしてきた。

だからアルファベットだとうまく作れるけど、日本語とか漢字とか使いにくくて、

その文字が含む意味を捨てていた。

でも、日本語や漢字は英語と違う。とりわけ漢字は線とか点で意味がある。



今、東洋の中心にいるのに、西洋的な解釈で文字を料理していた。

いまさらながら文字の存在意義を考えたことがなかった。

だから、のっぺらぼうだったのかもしれない。


デザインには一定の潮流があるというのはなんとなくわかる。

でも、東洋には東洋のデザインがあるというのは考えたことがなかった。




2年間自分が模倣してきたのは、誰でも知っている日本の有名な雑誌とか、日本の有名なデザイナーとか、

そういう価値観であって、ほかのものさしはあまりなかった。

なんとなくありそうなかんじでつくって適当にごまかしていた。




杉浦康平さんの本を読んで、自分がいかに適当にデザインに向き合っていたか、思い知らされました。

自分が見ていた世界がどれだけ狭かったか、ということも。


もっと大きな世界に出てみたいです。